令和5年11月1日付で新設されました医療情報薬学分野を担当することになりました渡邊です。私は、平成8年に熊薬を卒業後、平成13年に大学院薬学研究科博士後期課程を修了しました。その後、熊本大学病院薬剤部にて薬剤師として勤務の後、薬学6年制移行の際に(平成18年)、実務家教員として熊薬に戻って参りました。その後、平成19年から約1年半の間、米国ダートマスメディカルスクール(Prof. Ta Yuan Chang) に客員研究員として留学の機会をいただき、生化学や分子生物学を学んできました。米国にて子供が産まれたこともあり、米国の病院や薬局の姿も見ることができ、米国と日本の医療制度の違いを目の当たりにしてきました。日本に帰国後は、実務家教員として教育を担当しながら、専門であります医療薬剤学、薬物動態学を基盤とした研究活動を続けて参りました。
薬学部における人材育成、特に6年制教育がどのような姿であるべきかについて、常々考えることがあります。基本的な6年制教育については、薬学教育モデル・コア・カリキュラムに準じて進めて行く訳ですが、中でも学生にとって重要なことは、卒業研究を通じて自身のテーマに向き合い研究活動に専念する期間だと思います。問題解決能力・情報収集能力・コミュニケーション能力・プレゼンテーション能力といった本来社会が大学に求めている教育について、研究室での研究活動がとても重要になります。もちろん、熊薬は薬剤師のみならず、企業、行政、その他、多方面で活躍する人材を育てていく必要があります。教育・研究を通して、学部生(4年制、6年制)、大学院生の皆さんを一人前の人間としてしっかり育てて社会に送り出す使命感を持ち、これからも学生達の成長をサポートしていきたいと思っています。最近ではデジタル・トランスフォーメーション(DX)やAIにより急速にデジタルイノベーションが進展しています。教育、研究、社会共創においても、DX時代のリテラシー(知識・能力)を身に着け社会で活躍できる人材の育成が重要になります。今後、予測困難な時代に向けて、目まぐるしい社会変化にも対応できるような人材育成にも努めて行きたいと思っています。そして、一人でも多くの学生の才能を開花できるように頑張りたいと思います。
医療情報薬学分野・教授
渡邊博志